がん治療と栄養
がんの治療には、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法などの治療法があり、技術の進歩により種類も増えています。どの治療を受けるにも栄養状態の維持・向上が必要です。そのためには毎日の食事が重要になってきます。
<食事の意味>
人にとって食事は、生きていく上で欠かすことのできない日常生活行動のひとつです。また、正月や節句など年中行事に伴う食事も多く、文化的要素もあります。何より、家族や友人などとの食事では楽しみや心地よい時間を過ごしたり、満足感が得られ気力が湧いてくるなど精神的な要素も含まれます。このように楽しい、おいしいと感じながら食べることにより、免疫力も活性化されるのです。
<がんになると体重が減る理由>
がん患者の場合、食事をきちんと摂っていても体重が減少することが知られています。がんの進行や治療から消化管が狭くなったり、抗がん剤などの副作用による食欲不振や吐き気、味覚障害により食事量が減少したりすることがあります。また、がんと診断された精神的ストレスで食べられないといったこともあります。さらにがんは増殖する際にたんぱく質を消費し、脂肪や筋肉を分解して利用します。そのため、がん患者は身体の現状維持のためだけでも、通常の1.1~1.3倍のエネルギー量が必要になるといわれています。
<食事の基本>
人が本来持っている免疫を正常に機能させるために、主食(ごはん、パン、麺等の炭水化物)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品、乳製品等のたんぱく質)、副菜(野菜、海藻、きのこ、果物等)をバランスよく取れているか振り返ってみましょう。治療中は吐き気や味覚障害、倦怠感など様々な症状で、3食規則正しい食事を摂ることが難しいときがあります。そんなときは食べられそうなものを少量でも良いので口にしましょう。そうすることで腸粘膜に数多くある免疫細胞の働きが保たれます。また、今は栄養剤も種類が豊富にあるので、自分の好みに合ったものを上手に取り入れることで、簡単に栄養補給ができます。