「働きながら病気の治療を受けるときのコツ」
「ワーク・ライフ・バランス(仕事と暮らしのバランス)」という言葉はよく聞きますが、近年「仕事と治療のバランス」も注目されていることをご存じでしょうか?
仕事は収入の糧であるだけでなく、私たちに生きがいや満足感をもたらしてくれます。病気になっても治療を受けながら仕事を続ける人は多く、がんも例外ではありません。
日本人の二人に一人は人生のどこかでがんと診断されますから、がんはとても身近な病気です。かつては「不治の病」とみなされていたがんも、治療の進歩により、今は「長くつきあう慢性病」に変化しつつあります。
とはいえ、がんと診断されると誰でも驚きます。まずは、大きく深呼吸をしてみましょう。一番大事なのは、慌てないことです。
さて、治療をしながら仕事を続けようとするとき、実践できる大切なポイントを3つご紹介します。
① 今、自分が持っている権利を確認しましょう
多くの事業場には、労働条件や社内の規律を定めた就業規則というルールがあります。普段すみからすみまで読むことは少ないため、病気になったときの休暇や給与の決まり事をよく知らない人がほとんどです。社員としての自分の権利を、まず確認しましょう。わかりにくいようなら、上司や人事労務担当者に問い合わせるとよいでしょう。
② 職場に状況を説明して理解を得ましょう
おおよその治療スケジュールや予想される副作用などを、職場に説明しましょう。この先2-3か月の見通しで十分です。状況がわかれば、上司や人事も一緒に対応を考えやすくなります。「職場に正直に病気を伝えても大丈夫だろうか?」という心配もあるでしょう。もし今までとまったく同じように働けるなら、伝える必要はないかもしれません。ただ、病気のために休暇が必要になったり、一時的にせよ何か配慮が欲しい場合には、信頼できる職場関係者に相談しておいたほうが、長い目で見れば楽かもしれません。職場内で病気を知らせる人の範囲も考えておくとよいでしょう。
③ できないことだけでなく、できることを考えましょう
体力が落ちているときでも、無理なくできる仕事もあります。状況に応じて職場に貢献する方法を考えてみましょう。
この10年ほどの間に、病気を治療しながら仕事が続けられるよう、職場や医療機関の取り組みが進んできました。もし勤務先に産業医や産業看護職がいたら、ぜひ相談してみましょう。また、病院には患者さんの困りごとの相談窓口があり、医療機関によっては働く患者さんに対応する専門職も配備しています。院内のどこで相談できるのか、スタッフに場所を聞いてみましょう。
<役に立つ資料>
がんと仕事のQ&A 第3版 (国立がん研究センター「がん情報サービス」から無料閲覧・ダウンロード可能)
https://ganjoho.jp/public/support/work/qa/